不動産の「売却」と「購入」それぞれにかかる税金

2026-05-07

不動産の「売却」と「購入」それぞれにかかる税金

 

【売却編】不動産を売ったときにかかる税金

不動産を売却して利益(譲渡益)が出た場合、その利益に対して「譲渡所得税」「住民税」がかかります。ポイントは「売れた金額」すべてに課税されるわけではなく、諸費用を差し引いた「利益」が対象になるという点です。

1. 譲渡所得の計算式

まずは、課税対象となる金額(課税譲渡所得)を算出します。

課税譲渡所得 = 売却価額 - (取得費 + 譲渡費用) - 特別控除額

  • 売却価額: 不動産の売却代金。
  • 取得費: その物件を買い入れたときの代金や仲介手数料、リフォーム費用など(建物の減価償却費を差し引く必要があります)。
  • 譲渡費用: 売却時に支払った仲介手数料、印紙税、測量費、解体費など。

2. 「所有期間」が税率を左右する

売却した年の11日時点での所有期間により、税率が約2倍も変わります。

  • 短期譲渡所得(5年以下): 税率 39.63%(所得税30% + 復興特別所得税0.63% + 住民税9%
  • 長期譲渡所得(5年超): 税率 20.315%(所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%

[注意点]

「丸5年住んだから大丈夫」と思っていても、判定基準は「売却した年の11日時点」です。購入から5年後の翌年1月を過ぎてから売るのが鉄則です。

3. 売却時に使える強力な「節税特例」

マイホームを売る場合には、利益が出ていても税金をゼロ、あるいは大幅に減らせる特例があります。

  • 3,000万円特別控除:

所有期間に関わらず、マイホームを売った利益から最大3,000万円まで差し引ける特例です。利益が3,000万円以下なら税金はかかりません。

  • 10年超所有軽減税率の特例:

10年を超えて所有したマイホームを売る場合、6,000万円以下の部分の税率が14.21%まで下がります。前述の3,000万円控除と併用可能です。

  • 損益通算と繰越控除:

もし売却して「損」が出た場合、その年の給与所得など他の所得から差し引いて、所得税を還付させることができます(最大4年間)。

※【売却編】5,000万円で売れた時のシミュレーション

例えば、かつて4,000万円で購入したマンションを5,000万円で売却し、諸費用(仲介手数料など)に200万円かかった場合で計算してみましょう。

 

利益(譲渡所得)の計算

5,000万円 -(4,000万円 200万円)= 利益 800万円

この「800万円」に対して、所有期間に応じた税率がかかります。

所有期間(1/1時点)

税率

税額(概算)

短期譲渡(5年以下)

39.63%

317万円

長期譲渡(5年超)

20.315%

162万円

マイホーム特例適用

3,000万円控除

0

 

【購入編】不動産を買ったときにかかる税金

購入時の税金は「一度だけ払うもの」と「持ち続ける限り払うもの」に分かれます。

1. 印紙税(契約時)

売買契約書に貼る切手のようなものです。現在は軽減措置が適用されており、1,000万円超〜5,000万円以下の契約であれば税額は1万円(本来は2万円)となっています。

2. 登録免許税(登記時)

不動産の名義変更(所有権移転登記)や、ローンを組む際の抵当権設定にかかる税金です。

  • 土地の移転: 2.0% → 1.5%20273月末までの軽減措置)
  • 住宅家屋の軽減: 一定の要件(床面積50㎡以上など)を満たせば、移転登記が0.3%、抵当権設定が0.1%に軽減されます。

3. 不動産取得税(入居後数ヶ月)

購入後、忘れた頃にやってくるのがこの税金です。

  • 計算式: 固定資産税評価額 × 3%(標準税率は4%ですが、20273月末まで3%に軽減中)。
  • 軽減措置: 新築住宅なら最大1,200万円(長期優良住宅なら1,300万円)を評価額から控除できるため、多くの場合、一般的なマイホームであれば実質ゼロ円になるケースが多いです。

4. 固定資産税・都市計画税(毎年)

毎年11日時点の所有者に課せられます。

  • 新築住宅の軽減: 新築から3年間(マンション等耐火建築物は5年間)、建物部分の固定資産税が半分になる特例があります。

※【購入編】5,000万円の物件を買う時の税金目安

5,000万円の中古マンション(省エネ基準適合・床面積50㎡以上)をローンで購入する場合の、主な税額目安です。

 

税目

計算の目安

税額(目安)

印紙税

売買契約書(軽減措置適用)

10,000

登録免許税

所有権移転・抵当権設定(軽減適用)

15万~25万円

不動産取得税

固定資産税評価額から算出

実質 0(控除適用時)

固定資産税

毎年支払う(年額)

10万~15万円

 

 

2026年版】住み替え時の注意点:3000万控除 vs 住宅ローン控除

ここが最も重要なポイントです。

「売却時の3,000万円特別控除」と「新居での住宅ローン控除」は、原則として併用できません。

  • 利益が大きい場合: 売却益に対する税金を消せる「3,000万円控除」を選ぶ方が有利です。
  • 利益が少ない・または新居のローン額が大きい場合: 1013年間にわたって減税を受けられる「住宅ローン控除」を選ぶ方がトータルで得をする可能性があります。

2026年現在、住宅ローン控除は「省エネ基準」を満たさない住宅(その他の住宅)では原則受けられなくなっています。中古住宅を検討する際は、その物件が「省エネ基準適合」かどうかが節税の鍵を握ります。

 

まとめ:税金を知る者が不動産取引を制す

不動産の税金は、数百万円単位で変わる世界です。

特に2026年は、金利動向の変化や省エネ基準の義務化など、市場環境が動いています。

  1. 売却前に、今の家が「長期」か「短期」か確認する。
  2. 購入前に、新居が「住宅ローン控除」の対象(省エネ基準)か確認する。
  3. 住み替え時は、売却の特例とローンの控除、どちらがトータルでプラスかシミュレーションする。

これらを意識するだけで、手元に残る現金は大きく変わります。迷った際は、地域の税務署や信頼できる税理士に早めに相談することをおすすめします。

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